(進行段階別)糖尿病網膜症の治療方法|町田市の眼科|町田胃腸病院眼科

〒194-0023
東京都町田市旭町1丁目17-21

お問い合わせ

042-726-6511

トピックス TOPICS

(進行段階別)糖尿病網膜症の治療方法


前回のブログでは、糖尿病網膜症のメカニズム・症状についてご説明をさせていただきました。


糖尿病網膜症の進行を抑え、失明を防ぐためには、進行段階に合わせた適切な治療が重要です。


今回は、進行段階ごとに、糖尿病網膜症ではどのような治療を主に行うのかについて、ご紹介します。


■1.初期(単純糖尿病網膜症)


◎血糖コントロールを中心に、血糖値の安定を図ります

初期段階である単純糖尿病網膜症においては、糖尿病治療と同様に、血糖値のコントロールが網膜症に対する治療の中心になります。


糖質を抑えた食事と適度な運動による血糖コントロールを行うことで糖尿病網膜症の進行を抑え、これ以上、目の状態(網膜の血管の狭まり)が悪くならないようにします。


{すべての進行段階を通じて、血糖コントロールを行うことが大切}


初期段階の網膜症の治療の中心であると共に、血糖コントロールは糖尿病、および、糖尿病網膜症のすべての進行段階におけるケアの基本です。


すべての進行段階を通じて行う毎日の血糖コントロールにより、血糖値を正常な数値に近づけることで、糖尿病、および、糖尿病網膜症の進行抑制を図ります。


■2.中期(増殖前糖尿病網膜症)


◎眼底にレーザー光を照射し、網膜上に新生血管が生まれるのを防ぎます

中期段階である増殖前糖尿病網膜症(前増殖糖尿病網膜症)においては、眼底へのレーザー照射(レーザー光凝固術)が主な治療方法になります。


レーザー光凝固術では、眼底にレーザー光を照射することで網膜上に新生血管が生まれるのを防ぐと共に、新生血管を減らしていきます。新生血管に対するレーザー照射により、新生血管が破れることでひき起こされる硝子体出血のリスクを低減するのがレーザー光凝固術の目的です。


レーザー光凝固術の1回当たりの施術時間は15分程度です(※)。レーザー光凝固術は通常の外来にて受けられます。入院の必要はありません。


(※)患者様や目の状態によって施術時間が異なります。


■3.末期(増殖糖尿病網膜症)


◎硝子体手術により、硝子体や網膜の状態の安定を図ります

末期段階である増殖糖尿病網膜症に進行した、または、レーザー光凝固術や硝子体注射(後述)で効果が見られない場合は、硝子体手術が必要になるケースがあります。


硝子体手術では、目の中で出血・にごりを起こしている硝子体を取り除き、硝子体や網膜の状態の安定を図ります。


硝子体手術は難しい手術です。術者である眼科医には精密な処置・技術が求められます。当院では、東京女子医科大学の眼科専門医による精度を高めた硝子体手術を行っています。


■すべての進行段階(黄斑浮腫)


◎硝子体注射により、毛細血管からの水分の漏れ出しを抑え、新生血管を退縮させていきます

黄斑浮腫(おうはんふしゅ)とは、網膜の中心部である黄斑がむくんでいる状態です。


糖尿病網膜症では、血糖値の悪化にともない、毛細血管の外へ水分が漏れ出しやすくなります。このため、初期から末期まで、網膜症のすべての進行段階において、毛細血管の外への水分の漏れ出しによって黄斑浮腫が起きる可能性があります。


黄斑浮腫が起きた場合は、目の中の硝子体にステロイドや抗VEGF阻害剤を含む薬剤を注射し、以下の2点を図ります。


・網膜の毛細血管からの水分の漏れ出しを抑え、浮腫を軽減する

・新生血管を退縮させ、新生血管の発生、および、新生血管からの出血を抑える(&浮腫を軽減する)


【早期発見と初期段階での治療が大切です】


前回の「糖尿病網膜症のメカニズム・症状」にひき続き、今回は「進行段階別の糖尿病網膜症の治療方法」について、ご紹介をさせていただきました。


糖尿病網膜症の治療は目の状態を回復して元に戻すのではなく、症状の進行を食い止め、失明を防ぐ目的で行われます。


糖尿病網膜症によって起こる網膜の損傷、および、失明を防ぐためには、目の異常の早期発見と初期段階での治療が大切です。


眼底検査を中心に、眼科で定期的に目の検査を受けることで、糖尿病網膜症を早期に発見しやすくなります。早期発見からの初期段階での治療により、糖尿病網膜症の中期・末期への進行を抑えやすくなり、失明の確率の低減につながります。


– 定期検査(眼底検査)のご案内 –


糖尿病網膜症による失明から目を守るためには、以下の3つが重要です。


①患者様ご自身の食事制限や運動による血糖コントロール

②眼科での定期検査(眼底検査)

③眼科で行う適切な治療(症状の進行が見られる場合)


患者様ご自身で行う血糖コントロールに加え、眼科で定期的に眼底検査を受けることで、糖尿病網膜症をはじめとする目の疾患・目の異常の早期発見・早期治療につながります。


血糖コントロールができており、眼科での定期検査で疾患の進行が見られなければ、糖尿病網膜症は治療や手術をせずに済むこともあります。


当院では、眼底検査を中心に、糖尿病の方を対象にした定期検査を行っています。


大切な目を糖尿病網膜症から守り、失明を防ぐために、眼科で定期検査を受けましょう。


町田胃腸病院
眼科医師
⇒医師の経歴はこちら