主に加齢などの原因により、目のレンズである水晶体が白く濁る病気、白内障。
多くの方が発症する白内障ですが、患者様の中には「年だから仕方がない」「まだ見えているから大丈夫」と、白内障を放置するケースも見受けられます。
はたして、白内障は放置しても問題がないのでしょうか?
白内障による失明の危険性は?
注意が必要であり、気になるところですよね。
今回は、「白内障が進行すると起こり得ること」および「白内障の進行を遅らせる方法」について、ご説明します。
目次
■白内障が進行すると起こり得ること(白内障の症状)
白内障の症状は、進み具合いにより、以下の4つの段階に分けられます。
1.初期白内障
◎白内障の初期は自覚症状がないことが多いです
白内障の初期は、水晶体のフチ(縁)の部分である皮質が白く濁り始めます。水晶体の中心部ではなく、フチが濁り始めるため、白内障の初期は自覚症状がないことが多いです。
自覚症状がほとんどないことから、眼科での受診をきっかけに、初期の白内障が見つかるケースが少なくありません。
2.中期白内障
◎まぶしさや視界のかすみなどの症状を感じやすくなります
白内障の中期は、水晶体の中心部が白く濁ってきます。
水晶体の中心部が白く濁るため、白内障の中期では、まぶしさや視界のかすみなどの症状を感じやすくなります。
{中期白内障の段階で白内障手術を受ける方が多いです}
個人差はありますが、中期白内障になると、見えにくさが進行しやすくなります。見えにくさが進行してくるため、一般的には、中期白内障の段階で白内障手術(白く濁った水晶体を人工の眼内レンズに換える手術)を受ける方が多いです。
3.成熟白内障
◎見えにくさがさらに進行し、外から見て、目が白く濁っているのが分かります
中期を過ぎると、成熟白内障と呼ばれる段階に移行します。
成熟白内障では、まぶしさや視界のかすみに加え、視力の低下、物が二重に見える(ダブルビジョン)など、さらに見えにくさが進行します。外観の点でも、成熟白内障になると、外から見て、目が白く濁っているのが分かります。
成熟白内障は末期(過熱白内障)に近い段階であり、白内障手術が必要な状態です。
4.過熱白内障(末期)
◎急激な視力低下・視界異常が生じ、失明の危険性が高まります
末期の白内障を加熱白内障と呼びます。過熱白内障になると、水晶体の濁りも白色から茶色がかった色味へ変化し、水晶体が硬くなると共に、急激な視力低下・視界異常が生じます。
過熱白内障は末期段階です。最悪の場合は、水晶体の濁りによって光を感じられなくなり、失明に至るケースも。過熱白内障では、白内障による急激な視力低下・視界異常に加え、急性緑内障など、白内障以外の様々な目の病気を発症するリスクも高まります。
{過熱白内障は白内障手術の難易度が上がります}
末期段階である過熱白内障は、水晶体が硬くなり、水晶体を固定しているチン小帯にもダメージを受けているケースが多いです。
組織が変性しているため、過熱白内障は白内障手術の難易度が上がります。通常よりも手術に長い時間がかかるほか、水晶体の濁りが影響し、適切な眼内レンズを選びにくくなるのです。
適切な眼内レンズを選びにくくなることから、過熱白内障では、白内障手術を受けて目の濁りは解消できても、見えやすさはあまり改善されないケースが少なくありません(眼内レンズが合っていない場合)。
過熱白内障では、白内障手術に伴い、術後の合併症が起きるリスクも高まります。
■白内障の進行を遅らせる方法
◎眼科で処方する点眼薬の使用が基本になります
白内障の進行を遅らせる方法としては、眼科で処方する点眼薬(目薬)の使用が基本になります。
◎サングラスの使用、禁煙、適度な運動など、進行リスクの低下にアプローチする方法もあります
白内障の進行を遅らせる、医学的根拠に基づいた方法は、原則として、眼科で処方する点眼薬の使用が基本です。
点眼薬の使用が基本ですが、以下のようなセルフケアにより、白内障の進行リスクの低下にアプローチする方法もあります。
[白内障の進行リスクの低下にアプローチするセルフケア]
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日中はサングラスをつけ、紫外線から目を守る
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禁煙し、目への血流をうながす
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定期的に適度な運動を行い、白内障の原因の一つである糖尿病の発症・進行リスクを下げる
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ブロッコリー、ほうれん草、イチゴ、レモンなどの抗酸化作用のある食品を摂り、水晶体の酸化を抑える
【40歳を過ぎたら、眼科で定期検診を受けましょう】
初期段階であれば、加齢性白内障は手術をせず、点眼薬で様子を見る選択肢もあります。
患者様に適した治療方法を見つけるには、まずは、眼科を受診することが重要です。
白内障の多くは、加齢が原因で生じる加齢性白内障です。40歳を過ぎたら、眼科で定期検診を受けましょう。