日本国内では、1,500~1,800万人の方がコンタクトを装用していると見られています(※)。
コンタクトレンズの普及に伴い、コンタクトが原因の目の病気も増加。コンタクト装用者の10人に1人が何らかの目の病気・障害があると推測されています(※)。
(※)公益財団法人 日本眼科学会「コンタクトレンズ障害」より引用。
コンタクトをお使いの方の中には、コンタクトのケア不足・誤った方法のケアなどが原因で目の病気を発症し、最悪の場合は失明するケースも。
目次
■コンタクトで失明することがある?
◎コンタクトが原因で目の病気を発症し、最悪の場合は失明することがあります
コンタクトが原因で目の病気を発症・目の病気が進行し、実用的な視力を回復できなかった(=失明)ケースが医療機関や調査団体によって報告されています(※)。
(※)公益財団法人 日本眼科医会
「第17回 日本眼科記者懇談会 講演1」
より引用。
■コンタクトの何が原因で目の病気を発症するの?
◎コンタクトのケア不足・誤った方法のケアなどが原因で角膜感染症にかかるケースが多いです
コンタクトを洗浄しなかったり、水道水でコンタクトを洗うなど、コンタクトのケア不足・誤った方法のケアなどが原因で「角膜感染症」にかかるケースが多いです。
{角膜感染症とは?}
角膜感染症とは、目の角膜に細菌・アメーバ(主にアカントアメーバ)などが感染する目の病気です。
[角膜感染症をひき起こす細菌・アメーバの種類]
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ブドウ球菌(人の身体・目に存在する常在菌)
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緑膿菌(流しや洗面台などに存在する環境菌)<重症化しやすい>
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アカントアメーバ(水道水などに存在するアメーバ類)<重症化しやすい>
◎コンタクトによる角膜へのダメージ、および、細菌・アメーバが角膜感染症の主な原因
以下のような状況でコンタクトを装用していると、目の角膜が傷つきやすいです。
[コンタクトによる角膜へのダメージをひき起こす主な原因]
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ドライアイ、長時間の装用などによる目の表面の酸素・涙の不足
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レンズの汚れの放置
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レンズの傷・破損
目の角膜が傷つくと、角膜の深い部分に細菌・アメーバによる感染が進みやすくなります。
[角膜感染症をひき起こす細菌・アメーバの主な感染経路]
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洗浄不足で汚れがついたままのレンズ
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不衛生なレンズケース
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不衛生な保存液
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水道水でのレンズの洗浄など、誤ったケア
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元々、人間の身体・目に存在する常在菌(主にブドウ球菌など)
■角膜感染症が進行して角膜潰瘍を発症し、失明するケースも
◎角膜潰瘍を発症すると、治療を行っても目の濁り(見えにくさ)が残る場合があります
角膜潰瘍(かくまくかいよう)とは、角膜の深い部分(中間層)がダメージを受けた状態です。角膜感染症が進行すると角膜潰瘍を発症し、角膜がダメージを受け、最悪の場合は失明するケースがあります。
[角膜潰瘍の主な症状]
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目の異物感
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目の痛み
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目の充血
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まぶしさを感じる
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視力低下
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見えにくい(全体的に視野が暗くなり、ぼんやりとゆがんで見える)
角膜潰瘍は角膜の深い部分がダメージを受けているため、治療を行っても目の濁り(見えにくさ)が残る場合も。目の濁りが残ってしまったケースでは、眼鏡やコンタクトを装用しても視力を改善できないことがあります(実用的な視力の喪失=失明)。
■角膜潰瘍の治療
◎点眼薬、眼軟膏、内服薬を中心に治療を行います
眼科では、点眼薬、眼軟膏、内服薬を中心に角膜潰瘍の治療を行います。
角膜潰瘍が重症化した場合は、角膜を削る処置や角膜の移植手術が必要になることも。
■コンタクトが原因の目の病気を防ぐには?
1.コンタクトを正しく装用する
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定められた装用時間を守る(コンタクトを長くつけすぎない)
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コンタクトレンズをつけたまま寝ない
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定められたコンタクトの交換時期を守り、定期的にコンタクトを交換する
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眼科で診察を受け、目のカーブに合ったコンタクトを処方してもらう
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破れたり欠けたコンタクトはつけない
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コンタクトレンズはパッケージに「医療機器承認番号」が記載されている物を選ぶ(記載のないコンタクト(無名メーカーのカラーコンタクトなど)は避ける)
2.正しい方法でコンタクトケアを行う
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水道水でコンタクトを洗わない
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コンタクトにふれる前はせっけんで手を洗う
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コンタクトに合った洗浄液・保存液を使う
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消毒効果が強い洗浄液を使う(「1本でOK」タイプの洗浄液は消毒効果が弱い物が多いです)
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指の腹でやさしく、コンタクトの表・裏をこすり洗いする
【コンタクトの違和感・装用時の痛みなどの異常がある場合は速やかに眼科を受診しましょう】
角膜感染症(角膜潰瘍を含む)など、コンタクトが原因の目の病気を防ぐには適切な方法でコンタクトを装用・ケアすることが大切です。
目の病気・失明を防ぐために、コンタクトの違和感・装用時の痛みなどの異常がある場合は速やかに眼科を受診しましょう。
違和感・痛みがなくても、コンタクトを装用している方は眼科で定期検診を受けることをおすすめします。