人の目は、左右の目で多少の視力差があっても、特に見え方に問題は起きないことが多いです。
視力差が小さければ大きな問題は起きにくいのですが、左右の目の視力差が大きい場合は要注意。
左右の目の視力差が大きい場合は、「ガチャ目(不同視:ふどうし)」と呼ばれます。ガチャ目の方は視力差が原因で目の疲れ・めまい・頭痛などの症状が現れることも。
目次
■左右の目の視力差 どこからがガチャ目?
◎左右の目の視力差(屈折値の差)が2D以上の方はガチャ目の可能性があります
ガチャ目(不同視)の判断基準についてですが、以下に該当する方はガチャ目の可能性があります。
[ガチャ目(不同視)とされる左右の目の視力差]
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左右の目の度数(屈折度)の差(屈折値(D:ディオプトリー)(※)の差)が2D以上の方
なお、2D以上、と言われても、ご自身では判断できないかと思います。屈折値の差を調べ、ガチャ目かどうかを判断するためには眼科での検査が必要です。
(※)屈折値(D:ディオプトリー):
目に入ってきた光を屈折させ、網膜にピントを合わせる能力を数値化したもの。「屈折力」「屈折度」と呼ぶことも。
■ガチャ目は方言?差別用語?ロンパリとは違うの?
◎あまり適切な表現ではありませんが、一般的な用語として、ガチャ目と表現しています
ガチャ目は一般的な用語です。医学的には、左右の目の視力差が2D以上ある状態を「不同視(ふどうし)」と呼びます。
{ガチャ目は方言ではないです}
ガチャ目は方言ではありません。語源についてはよくわかっていませんが、「「左右の目の視力差が大きい=(左右の目の見え方が)ガチャガチャな状態」として、「ガチャ目」と名付けられたのでは、と考えられています(諸説あります)。
{ガチャ目とロンパリは異なります}
ガチャ目とは、左右の目の視力差が大きい状態を指す言葉です。ガチャ目はロンパリ(斜視)(※)とは異なります。
(※)ロンパリ…イギリスのロンドンとフランスのパリほど遠く離れている=目(黒目)が離れていることから、「ロン(ドン)パリ」と名付けられたと言われています(諸説あります)。
なお、ガチャ目・ロンパリ、どちらもテレビや雑誌などでは使われにくく医学的には「不同視」と呼ばれています。ガチャ目・ロンパリは、どちらも差別的に聞こえる可能性があるため、眼科以外での発言の際は注意が必要です。
■ガチャ目(左右の目の視力差が大きい)の方に見られる主な症状
◎物・人が二重に見える、目が疲れやすい、めまい、頭痛などの症状が現れることがあります
ガチャ目の方を含め、左右の目の視力差が大きい方・何らかの目の病気(後述します)にかかっている方は、以下のような症状が現れることがあります。
[ガチャ目の方に見られる主な症状]
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物・人が二重に見える
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対象物までの距離感・立体感をつかみにくい(細かく目を使う作業ができない・針に糸を通せないなど)
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目が疲れやすい
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めまい
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頭痛
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肩こり
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吐き気
※患者様によっては無症状の場合もあります。
◎お子さんをお持ちの方は、お子さんに以下のような症状がないかチェックしてみてください
{8歳前後以下の小さなお子さんは弱視が関係しているガチャ目に要注意}
ガチャ目の方で特に注意が必要なのが、8歳前後以下の小さなお子さんです。
小さなお子さんは、患っている弱視(※)がガチャ目と関係していることがあります。弱視は8歳頃を過ぎると治療の効果を得にくくなるため、8歳頃になる前に、眼科で適切な検査・治療を受けることが重要です。
(※)弱視(じゃくし)…子どもの頃に何らかの理由で
脳と目の連携能力(はっきり見る能力)が育たず、
視力が極度に低下した状態が定着してしまうこと。
お子さんをお持ちの方は、お子さんに以下のような症状がないかチェックしてみてください。
[ガチャ目のお子さんに見られる主な症状]
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首や頭をかしげて、物・テレビなどを見ていることがある
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片方の目を閉じる癖がある
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左右の目の黒目の位置がおかしい(ガチャ目と斜視の併発)
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左右の目の大きさが違う気がする(偏った見方によって生じた目の開き方の差)
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「頭が痛い」と言うことが多い
■左右の目に視力差が生じる主な原因
◎目の大きさ・目の形の左右差、目の病気、事故など、様々な原因が考えられます
ガチャ目を含め、左右の目に視力差が生じる主な原因としては、以下のような因子が考えられます。
[左右の目に視力差が生じる主な原因]
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左右で目の大きさが違い、屈折値に差が生じている
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左右で目の形が違い、屈折値に差が生じている
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目の病気・異常により、片方の目の視力が低下して屈折値に差が生じている
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事故で目に強い衝撃を受け、水晶体や角膜などの片方の目の器官が損傷することで視力が低下し、屈折値に差が生じている
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白内障手術など、眼内レンズを入れる目の手術や片方の目のみの手術を受け、屈折値に差が生じている
左右の目の視力差(ガチャ目を含む)が生じることがある、目の病気・視力障害・目の異常の例
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角膜乱視
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弱視(不同視弱視)
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目の屈折異常(遺伝・環境・加齢などによる目の屈折異常)
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白内障
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緑内障
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網膜剥離・網膜静脈閉塞症・加齢黄斑変性などの目の網膜の病気
■眼科で診療を受けず、ガチャ目を放置した場合のリスクは?
◎左右の目の視力差が強まったり、ガチャ目と関係している目の病気・視力障害・目の異常の治療が遅れてしまうおそれも
ガチャ目を含め、左右の目に大きな視力差がある場合、自然に左右の目の視力差が治ることはほとんどありません。
自然治癒はほとんどない、ガチャ目。
眼科で診療を受けず、ガチャ目を放置した場合、以下のようなリスクが生じる可能性があります。
[ガチャ目を放置した場合に生じる可能性があるリスク]
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ガチャ目と関係している目の病気・視力障害・目の異常が進行し、左右の目の視力差が強まる
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ガチャ目と関係している目の病気・視力障害・目の異常に対し、眼科での治療が遅れてしまう(特に8歳前後以下の小さな子どもの弱視には注意が必要)
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左右の目の視力差によって生活への支障が大きくなり、生活の質(QOL:Quality of Life)が下がる
【見え方に異常がある、お子さんに変な仕草が見られる場合は早めに眼科を受診しましょう】
ガチャ目(不同視)は必ずしも、治療が必要とは限りません。目の病気などが原因でなければ、眼鏡・コンタクトの装用で左右の目の視力差を矯正できる可能性があります。
眼鏡・コンタクトでの矯正ができる可能性がある一方、弱視や白内障、網膜剥離などの目の病気・視力障害・目の異常がガチャ目と関係している場合も。目の病気などが関係している場合は、眼科での早期治療が望まれます。
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物・人が二重に見える
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目が疲れやすい
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原因不明のめまい・頭痛・肩こりが続いている
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首をかしげて物・テレビを見るなど、お子さんに変な仕草が見られる
上記のような症状がある方・お子さんの症状が見られる方は、早めに眼科を受診しましょう
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今回は、左右の目で視力に差がある「ガチャ目」の症状・原因のお話をさせていただきました。
来月のブログでは、ガチャ目の治療方法・改善の仕方について、ご説明します。