医療先進国である、日本。
眼科医療においても、日本では様々な精密機器・薬剤が用いられ、治療の進歩は目覚ましいものがあります。
進化した眼科医療を受けられる日本ですが、目の病気の放置などが原因で失明する方が多いのも事実です。
今回は、気をつけたい「日本人の失明割合で多い目の病気 TOP3」をランキング形式でご紹介します。
■日本人の失明割合 第1位「緑内障」
失明割合:40.7%
日本人の失明割合で多い目の病気、第1位は「緑内障」です。
視力を失った(目の病気・外傷などによる中途失明)ケースにおいて、約4割の方が緑内障が原因で失明しています。
◎眼圧の上昇や房水の停滞などにより、視神経がダメージを受ける目の病気
緑内障とは、眼圧の上昇や目の中を流れる房水の停滞などの原因により、視神経がダメージを受ける目の病気です。
◎初期段階では自覚症状がほとんどなく、ご自身では緑内障に気づけないことが多いです
緑内障は、初期段階では自覚症状がほとんどないため、初期のうちは、ご自身では緑内障に気づけないことが多いです。
初期段階では自覚症状に乏しいですが、緑内障が進行して中期以上になると、以下のような症状が現れやすくなります。
≪緑内障の症状(中期~重度)≫
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視界に暗い点が見える
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視野が狭まる
◎定期的に眼科で治療を受けていれば、緑内障の失明率は1~数%程度とされています
日本人で失明した方の、約4割が緑内障が原因、と聞くと、「緑内障は失明しやすい」と思われるかもしれません。
着目していただきたいのは、「全体に占める失明割合(失明原因の割合の多さ)」と「目の病気にかかった場合の失明率(失明しやすさ)」は異なる、という点です。
医療が進化した日本においては、定期的に眼科で治療を受けていれば、緑内障の失明率はされています。
ランキングが1位だからと言って、緑内障ばかりに気をつけるのではなく、白内障など、緑内障以外の目の病気にも注意することが大切です。
■日本人の失明割合 第2位「網膜色素変性症」
失明割合:13.0%
日本人の失明割合で多い目の病気、第2位は「網膜色素変性症」です。
視力を失ったケースにおいて、約1割強の方が網膜色素変性症が原因で失明しています。
◎遺伝的な要因より、網膜に異常が起きる目の病気
網膜色素変性症とは、遺伝的(生まれつき)な要因により、光を感じる組織である網膜(カメラにおけるフィルム)に異常が起きる目の病気です。
◎確立された治療法はありませんが、眼科への定期通院により、合併症から失明を防ぐアプローチを続けることが重要
網膜色素変性症に対しては、残念ながら、現時点では確立された治療法が存在しません。
暗順応改善薬(ヘレニエン)、循環改善薬、ビタミン剤(ビタミンA)などの内服薬を用いる場合もありますが、網膜色素変性症に対する効果は立証されていないです。
確立された治療法はありませんが、網膜色素変性症に対しては、眼科に通院し、定期的に目の状態を確認して、合併症(白内障など)から失明を防ぐアプローチを続けることが重要です。
■日本人の失明割合 第3位「糖尿病網膜症」
失明割合:10.2%
日本人の失明割合で多い目の病気、第3位は「糖尿病網膜症」です。
視力を失ったケースにおいて、約1割の方が糖尿病網膜症が原因で失明しています。
◎進行した糖尿病により、網膜の組織が損傷する目の病気
糖尿病網膜症とは、進行した糖尿病により、血糖値の異常が原因で網膜の組織が損傷する目の病気です。
糖尿病網膜症においては、網膜の組織の損傷に加え、血糖値の異常によって目の中を走る血管(新生血管(異常血管))が破れて硝子体出血を起こし、失明するケースが少なくありません。硝子体出血のほか、糖尿病網膜症が原因で網膜剥離が起き、失明する場合も。
◎食事制限を中心に血糖コントロールを行うと共に、眼科での定期検査・定期治療が大切
糖尿病網膜症に対しては、食事制限を中心とした日々の血糖コントロールが欠かせません。
血糖コントロールと併せ、眼科で定期的に検査を受け、必要に応じて、治療を行うことで、視力障害・失明を防ぎやすくなります。
(上記、失明割合の引用元)
厚生労働省 難治性疾患等政策研究事業 網膜脈絡膜・視神経萎縮症に関する調査
研究班「令和元年度全国視覚障害者新規認定者調査」(2019)より引用。
【眼科で定期的に検査を受けましょう】
今回は、日本人の失明割合で多い目の病気、TOP3をご紹介させていただきました。
放置すると失明することもある、怖い目の病気ですが、発症=失明、ではありません。
眼科で定期的に検査を受け、状態に応じて治療を受けることで、視覚障害の進行を抑えやすくなり、失明から目を守る確率を高められます。
眼科で行う定期検査の詳しい内容については、ブログにてご説明しています。併せて、ご参照ください。