近年は、生活習慣の乱れや、スマートフォン・パソコンの普及により、ドライアイになる方が増えています。
以前、当院のブログ①、②でも、ドライアイの症状・原因・治療方法をお話しさせていただきました。
ドライアイは、名前のような、単なる目の乾燥ではありません。ドライアイは正式名称を「乾燥性角結膜炎(かんそうせいかくけつまくえん)」と呼ぶ、れっきとした目の病気です。
ドライアイになると、涙の減少や涙の成分の異常により、目が乾燥しがちになります。ドライアイによる目の乾燥が原因で、角膜や結膜に傷ができることも。
ドライアイの対処・治療方法は様々です。対処の仕方は様々ですが、ドライアイによって起きる目の乾燥を防ぐ方法としては、眼科や市販の目薬(点眼薬)による点眼があります。
目次
■ドライアイの目薬は1日、何回までOKなの?
◎1日に3回~、最大でも6回まで
ドライアイの目薬は、眼科・市販を問わず、原則として、1日に3回~、最大でも6回までになります。
なお、上記は、一般的な目安の回数です。薬の成分や患者様の目の状態により、1日に点眼できる目薬の回数が異なります。
◎眼科・市販の目薬で、さしても良い回数に差がでる場合があります
後述しますが、ドライアイに対する目薬は、眼科・市販によって、1日につき、さしても良い回数に差がでる場合があります。
眼科の目薬の中には、1日3回までの物(ジクアスLX)も。市販の目薬は、一般的に、1日3~6回まで、としている物が多いです。
■ドライアイの目薬をさし過ぎると、どうなっちゃうの?
◎ドライアイの目薬をさし過ぎると、角膜の傷や涙が不足するなどの悪影響が生じるおそれがあります
ドライアイの目薬をさしても良い回数は、1日3回~、最大でも6回までが原則です(※)。
(※)一般的な目安の回数です。薬の成分や患者様の
目の状態により、1日に点眼できる目薬の回数が異なります。
用法・用量を守らず、ドライアイの目薬をさし過ぎると、目薬に含まれる防腐剤の成分により、目の角膜が傷つくことがあります。
角膜の傷のほか、目薬のさし過ぎにより、かえって涙が洗い流されてしまい、涙が不足してさらに目の乾燥が進むおそれも。
■ドライアイに対して用いる、眼科・市販の目薬は成分が違うの?
◎ほぼ同じ成分の目薬もありますが、眼科でしか処方できない目薬も存在します
ドライアイで起きる目の乾燥、および、涙の分泌・涙の成分の異常に対しては、主に、以下のような目薬を用います。
[ドライアイに対して用いる、目薬の種類]
- ヒアルロン酸点眼薬(眼科・市販)
- 人工涙液(眼科・市販)
- ムチンの分泌をうながす点眼薬(眼科のみ)
- 眼軟膏(眼科のみ)
◎ドライアイで一般的に用いられているのは、ヒアルロン酸点眼薬と人工涙液
現在、ドライアイに対する目薬で一般的に用いられているのは、①のヒアルロン酸点眼薬、および、②の人工涙液です。
①ヒアルロン酸点眼薬(眼科・市販)
ヒアルロン酸点眼薬は、主成分であるヒアルロン酸により、目のうるおいを保ち、角膜の傷を防ぐ作用を持ちます。
②人工涙液(眼科・市販)
人工涙液は、名前のとおり、涙を補うための人工的な涙液です。
以下のように、人工涙液は製品によって含まれる成分が異なります。
[人工涙液に含まれる主な成分]
- 塩化カリウム・塩化ナトリウム(涙のイオンバランスを正常な状態に近づける)
- タウリン(傷ついた角膜の修復を助ける)
- ブドウ糖(目の新陳代謝を促進する)
③ムチンの分泌をうながす点眼薬(眼科のみ)
ムチンの分泌をうながす点眼薬としては、代表的な物に、眼科で処方される「ジクアスLX」があります。
ムチンは目に涙を留まらせ、涙液層を安定させるために欠かせない成分です。ムチンの分泌をうながすことで、単に目の乾燥を防ぐだけではなく、涙液を増やし・安定させる効果も期待できます。
なお、ジクアスLXは防腐剤の濃度が低いことが確認され、2024年10月現在、厚生労働省の通達により、出荷停止となっています。
④眼軟膏(眼科のみ)
眼軟膏とは、眼科のみで処方が可能な、目の軟膏です。就寝前、目(下まぶたの裏側)に眼軟膏を塗ることで、涙の蒸発を防ぎ、角膜を保護します。
【なかなか治らない目の乾きなど、目の異常や違和感でお悩みの方は眼科へご相談ください】
ドライアイは目の病気です。
市販の目薬は一時的に目の乾燥を防ぎ、涙を留まらせやすくする物であり、ドライアイの根本的な改善はできません。根本的にドライアイの症状を軽減するためには、眼科で処方する目薬、涙点プラグなど、涙の分泌・涙の成分の異常の改善にアプローチする治療が必要です(※)。
(※)症状によっては手術が必要になるケースがあります。
「目薬をさしてもなかなか目の乾きが治らない」
「常に目がゴロゴロする」
「目が乾き、充血している」
など、目の異常や違和感でお悩みの方は、ドライアイを含む目の病気が起きている可能性があります。できるだけ早めに、眼科までご相談ください。
診察では、眼科医が目の状態を確認し、検査を行います。検査結果を基に診断を実施し、ドライアイ、または、そのほかの目の病気の有無を調べた上で、適切な治療方法をご提案いたします。