
現代人に多い、近視(きんし)。日本においても近視は一般的であり、近視で眼鏡・コンタクトを装用している方も数多くいらっしゃいます。
近視という言葉そのものは良く聞きますが、そもそも、近視とは、どんな状態を指すのでしょうか?
目次
■近視とは?
◎近くの物は見えるものの、遠くの物が見えにくい「見え方の異常」です
近視とは、近くの物は見えるものの、遠くの物が見えにくい(ぼやける)「見え方の異常」です(※)。
(※)近視の程度(度数)により、目からどれくらい
離れると見えにくくなるかに差があります。
■物が見える仕組み(目の構造) 近視(見え方の異常)が起きるメカニズム
◎何らかの原因で、網膜(フィルム)より前で像を結んでしまうと近視になります
私たち、人の目は、角膜と水晶体を通して光を屈折させ、目の奥にある網膜(もうまく)に光を集める(像を結ぶ)ことで物を見ています。
網膜に集められた光は網膜によって信号にチェンジ(変換、切り換え)。視神経を通って信号が脳に伝えられることで、「物が見えている」感覚(視覚)が生まれるのです。
目の中に光(映像としての情報の基になる光)を入れるとき、カメラで言うところのレンズの役割を果たしているのが目の角膜と水晶体。目の奥にある網膜はフィルムです。
通常、正しい物の見方ができている場合(正視(せいし)と呼びます)は、目の中に入ってきた光は網膜上に集められます。
しかし、何らかの原因(後述します)で近視の状態になると、目の中に入ってきた光が網膜の手前に集まってしまうことも。光が網膜の手前に集まってしまうと、近くの物は見えるものの、遠くの物が見えにくい(ぼやける)状態(=近視)になります。
上記のような仕組みが、近視で遠くの物が見えにくくなるメカニズムです。
■近視の原因 タイプ(原因別のタイプ)の違い
◎眼球の奥行き(眼軸長)が長く、近視になる方が多いです(軸性近視)
近視の原因で多いと見られているのが、眼球の奥行き(眼軸長:がんじくちょう)が長いことによる「軸性近視(じくせいきんし)」です。
軸性近視とは、眼球の奥行きである眼軸長が長くなることで、目の中に入ってきた光が網膜まで届かず、網膜の手前に光が集まってしまう状態を指します。
[軸性近視になると考えられている主な原因(眼球の奥行き(眼軸長)が過剰に伸びる原因)]
人は誰しも、成長に伴い、眼球(眼軸長)が横方向へ伸びていきます(&垂直径(縦方向)も伸び、眼球そのものが大きくなっていきます)。
生まれたばかりの赤ちゃんは目が小さく(目の奥行きが短い)、誰もが遠視の状態です。
誰もが遠視の状態ですが、成長に伴って眼球(眼軸長)が横方向&縦方向へ伸びることで、おおよそ6~8歳頃までには、正常に物を見られるようになっていきます(正視化の完了)(※)。
(※)6~8歳以降、18~20歳前後まで眼軸長が伸び続けます。
20歳以上になっても、眼軸長が伸び続けるケースもあります。
成長に伴い、誰しも伸びる眼軸長ですが、以下のような因子によって眼軸長が過剰に伸びてしまい、軸性近視になることがあります。
遺伝的要因
遺伝的・先天的な要因により、生まれつき眼軸長が伸びやすい、または、生まれつき眼軸長が長いと、軸性近視になることがあります。
近くを見る作業のし過ぎ
-
本やノートが近過ぎる読書・勉強
-
パソコンやスマートフォンの見過ぎ
など、近くを見る作業をし過ぎると眼軸長が過剰に伸び、軸性近視になりやすいと考えられています(※)。
(※)現時点での仮説です。近くを見る作業の多さが眼軸長を伸ばすかどうかについては、はっきりとは解明されていません。
屋外活動が少ない
あまり外で遊ばないなど、屋外活動が少ないと、目の中に自然の光(太陽光)が入る時間が少なくなります。
目の中に自然の光が入る時間が少ない場合、眼軸長が過剰に伸び、軸性近視になりやすいと考えられています(※)。
(※)現時点での仮説です。屋外活動の少なさ(目の中に入る自然の光(太陽光)の少なさ)が眼軸長を伸ばすかどうかについては、はっきりとは解明されていません。
◎光を強く屈折させ過ぎることが原因の「屈折性近視」も
眼軸長の過剰な伸びが原因の軸性近視に対し、目の角膜や水晶体が、目に中に入ってくる光を強く屈折させ過ぎることによる「屈折性近視」も。
近視の原因の多くを占めると見られる軸性近視と比べて、割合としては、屈折性近視はそれほど多くはない、と推測されています。
[屈折性近視になると考えられている主な原因(目の中に入ってくる光を強く屈折させ過ぎてしまう原因)]
遺伝的要因
遺伝的・先天的な要因により、屈折性近視の方が多い家系の場合、屈折性近視になりやすいと考えられています(※)。
(※)現時点での仮説です。遺伝的要因が屈折性近視の原因になるかどうかについては、はっきりとは解明されていません。
近くを見る作業のし過ぎ
-
本やノートが近過ぎる読書・勉強
-
パソコンやスマートフォンの見過ぎ
など、近くを見る作業をし過ぎると水晶体が厚くなったまま緊張した状態が続き、屈折性近視になりやすいと考えられています(※)。
(※)現時点での仮説です。近くを見る作業の多さが屈折性近視の原因になるかどうかについては、はっきりとは解明されていません。
その他の要因
-
仮性近視(調節緊張)
-
本やノートが近過ぎる長時間の読書・勉強
-
パソコンやスマートフォンの見過ぎ
-
薬物・食中毒の影響
などが原因で、水晶体が厚くなったまま緊張した状態になり、一時的に屈折性近視(仮性近視、調節緊張)になることがあります。適切なケアをせずに放置すると、そのまま近視が定着してしまうことがあります。
-
核性近視
加齢によって水晶体が硬くなり(&水晶体の中心部が白く濁る=加齢による核白内障)、屈折力が強くなり過ぎて屈折性近視(核性近視)になることがあります。
■近視の種類
原因別のタイプの違い(軸性近視、屈折性近視)のほか、近視には、以下のような種類があります。
◎単純近視(眼鏡・コンタクトで見え方(屈折力)の矯正が可能な近視)
単純近視とは、網膜や視神経などに障害がなく、度数が強くても(強度近視)目の奥に異常がなければ、眼鏡・コンタクトで見え方(屈折力)の矯正が可能な近視です。
前述の軸性近視・屈折性近視は単純近視に分類されます。近視の多くは、眼鏡・コンタクトで見え方の矯正(改善)が可能な単純近視です。
◎病的近視(眼鏡・コンタクトを装用しても見え方(屈折力)の矯正が難しい近視)
病的近視とは、
-
眼軸長の極度の伸び(遺伝的要因などに伴う、軸性近視(強度近視)(単純近視)から病的近視への移行)
-
目の病気
-
全身性の病気(※)
などが原因で網膜や視神経に障害をきたし、眼鏡・コンタクトを装用しても見え方(屈折力)の矯正(改善)が難しい近視です。「強度近視」の方の一部が、この「病的近視」に進行することがあるため、定期的な眼底検査が重要です。
(※)全身性の病気そのものが、病的近視の直接の原因になることは稀です(遺伝的要因・環境的要因と全身性の病気が組み合わさった場合、病的近視をひき起こす可能性があります)。
[病的近視をひき起こすことがある病気の例]
-
後部ぶどう腫
(眼軸が異常に伸び、眼球の後部が膨張・突出する目の病気)
-
近視性網脈絡膜萎縮、近視性網脈絡新生血管、網膜分離症など
(主に強度近視(眼軸長の過剰な伸び)が原因で起こり得る、網膜・脈絡膜の目の病気)
-
糖尿病
(血糖値の異常によって目の水晶体がむくんで水晶体の厚みが変わり、一時的に近視(または遠視)になることがあります)
【来月のブログでは、近視の見え方の矯正・近視の予防方法について、お話しします】
「近視とは? 見え方・原因・種類」のご説明をさせていただきました。
一般的な見え方の異常である近視ですが、近視に対しては、単純近視であれば、眼鏡・コンタクトの装用で見え方の矯正(改善)にアプローチすることが可能です。
来月のブログでは、近視の見え方の矯正・近視の予防方法について、お話しします。
