前回のブログではドライアイの治療・セルフケアについてご紹介をさせていただきました。
ドライアイの原因・症状、放置した場合の悪化の仕方は多岐に渡ります。
今回は、以下についてご説明します。
・ドライアイをひき起こす原因
・ドライアイの症状
・ドライアイを放置し、悪化するとどのような状態になるのか
目次
■ドライアイをひき起こす原因
◎ドライアイはれっきとした「目の病気」
ドライアイとは、涙の分泌に異常が起きる目の病気です。正式名称を「乾燥性角結膜炎(かんそうせいかくけつまくえん)」と呼びます。ドライアイはけっして、単なる目の乾きではありません。
涙は目を潤し、細菌などから目を保護する役割を持っています。しかし、以下のような原因によって涙の分泌に異常が起き、涙の量が少なくなったり涙の質が悪くなるとドライアイを発症することがあります。
コンタクトレンズ、スマホ、ストレスなど、ドライアイの原因はさまざま
1.コンタクトレンズ
高含水のコンタクトレンズ(「うるおい〇〇」「水感〇〇」など)はレンズに涙が吸われやすく、涙の量が不足してドライアイになることがあります。
長時間・長期間のコンタクトレンズの装用による涙の循環不足が原因でドライアイを発症することもあります。
2.スマホ・パソコンの見過ぎ
スマホ・パソコンを見過ぎているとまばたきの回数が減って目が乾き、涙の分泌に異常が起きてドライアイになることがあります。
3.夜更かしなどの生活リズムの乱れ、エアコンなどの生活環境
夜更かしや毎日違った時間に寝るなど、生活リズムの乱れや、エアコンの風が原因の目の乾燥など、目に良くない生活リズム、生活環境によって涙の分泌に異常が起き、ドライアイになることがあります。
4.加齢
加齢に伴う身体の水分量の減少や代謝機能の衰えによって涙の分泌が減り、ドライアイになることがあります。
5.ストレス
呼吸・代謝・消化など、生命活動を自律的(自動的)に維持している神経を自律神経と呼びます。
ストレスが原因で自律神経に不調が生じると涙の分泌に悪影響を及ぼし、ドライアイになることがあります。
6.目の病気
シェーグレン症候群、スティーブンス・ジョンソン症候群など、目の病気が原因でドライアイを発症することがあります。花粉症の合併症でドライアイになることも。
7.目の手術
屈折矯正手術(レーシック)では角膜を削る手術を行うため、ほとんどのケースにおいて手術後に目が乾きやすくなります。レーシックの手術後、目が乾くことにより合併症としてドライアイになる傾向が見られます。
なお、レーシックの手術後のドライアイは一時的なものであり、通常は手術後、3~6ヶ月程度でドライアイの症状は改善されます。ただし、患者様や目の状態によっては長期間に渡ってドライアイの症状が続くこともあります。
■ドライアイの症状
◎目の乾きをはじめ、目がゴロゴロする、目の不快感などの症状が現れることも
ドライアイになると涙の分泌に異常が起きて目が乾くほか、以下のような症状が現れることがあります。
・目の乾き
・目がゴロゴロする
・目に不快感がある
・目が充血している
・目にヒリヒリとした痛みを感じる
・目がショボショボするような感覚がある
・起きたとき、目を開けにくい
・目ヤニの量が増える
・白い目ヤニが出る
・物がかすんで見えたり、モヤモヤして見える
・視力が低下する(実用視力の低下)
■ドライアイを放置する危険性
◎ドライアイの放置により、実用視力の低下やほかの目の病気が起きる可能性があります
ドライアイを放置すると実用視力が低下したり、目の病気に発展する可能性があります。
①実用視力の低下
実用視力とは、日常生活における物の見えやすさです。視力検査で測る実際の視力(1.0、0.1など)とは異なります。
ドライアイを放置すると涙の分泌の異常によって目が乾き、目の表面の粘膜がデコボコになって実用視力が低下し物が見えにくくなることがあります。
②角膜感染症の発症
角膜感染症とは、角膜(目の黒い部分)が細菌に感染して炎症が起きる目の病気です。
ドライアイを放置することで涙の分泌が減ると目の自浄作用が薄れてしまい、角膜が細菌に感染して角膜感染症を発症することがあります。
角膜感染症を発症すると以下のようなさまざまな目の症状が現れ、生活に支障をきたす可能性があります。
・目の充血
・目がゴロゴロする
・目がかすむ
・目に違和感がある
・急に涙がたくさん出る(流涙:りゅうるい)
・太陽光やライトに対してまぶしさを感じやすくなる
・物が見えにくくなる
角膜感染症は放置すると細菌感染が進行し、失明するケースもあります。
③精神的・肉体的なストレスの増加
目は物を見るために欠かせない器官です。ドライアイによって目の乾きや目の不快感、物の見えにくさが生じると日常生活において精神的・肉体的なストレスが増加します。
ドライアイを放置することで常に目の乾きや目の不快感に悩まされたり、見えにくさによって見たい物をはっきりと見られなくなると自律神経が乱れやすくなります。自律神経の乱れが原因で全身の不調をひき起こすケースも。
【目の乾き、目の違和感があるときはお早めに眼科へご相談ください】
「単なる目の乾き」と見逃されがちですが、ドライアイは目の病気です。
ドライアイを放置すると最悪の場合は角膜感染症から失明に至るケースもあります。また、ドライアイにより目の乾きや目の不快感があると常に目のことが気になったり物が見えにくくなり、日常生活に支障をきたしやすいです。
ドライアイは目の病気であり、市販の目薬では根本的な改善はできません。根本的にドライアイを改善するには点眼薬、および、涙点プラグによる眼科での治療が必要です(※)。
(※)ドライアイの状態によっては手術が必要になるケースもあります。
「目薬をさしてもなかなか目の乾きが治らない」
「常に目がゴロゴロする」
「目が乾き、充血している」
など、継続的な目の乾きや目の違和感がある場合はドライアイを含む目の疾患を発症している可能性があります。できるだけ早めに眼科までご相談ください。
診察では医師が目の状態を確認して検査を行い、ドライアイ、または、そのほかの目の疾患の有無を調べた上で適切な治療方法をご提案いたします。